髄膜炎の疑い

私は滅多に風邪を引かない。

風邪を引かなくなったというのが正しいだろうか?

風邪を引かない私だから、少し具合が悪くても大丈夫。

そんな過信が生んだ、今回のひと騒動。

先週の水曜日。

仕事中、妙に後頭部が痛い感覚があった。咳をすると響いて痛い。階段を降りると響いて痛い。冷たいものを飲むと響いて痛い。

突然の痛みで、私は、耐えられなくなった。

会社帰りの夜。頭がズキズキ痛くて、痛くて、止まらなくなった。

これはまずい、これはまずいぞ。

乗ったことのない、特急の指定席を買い、座って帰った。

眠れば痛みもなくなるだろう。と思ったが、眠れない。痛くて全く眠れないのだ。


なんだこの痛みは?

その日は、妻と子供と共にすぐに眠りに就いた。

次の日の朝、目覚める。寝転がった状態でいると頭の痛みはなく、大丈夫そうだ。

立ち上がる。かなりの頭痛。ズキズキ痛む。昨日は、後頭部だった痛みが、今日は前頭部だ。


ズキズキ痛い。


上から押さえつけられているように痛い。頭の痛みが移動するってなんだ?こりゃ?


先ずは医者に行こう。

会社には、医者に連絡次第では、休むかもしれないと伝え、医者に行くことにした。 

医者に見せるが、風邪なのか、何なのか何も伝えられずに、漢方薬と痛み止めを渡された。

多分、風邪ということだろう。

少し会社に嫌気もさしていたこともあり、1日ゆっくりと休むことにした。

熱は37度6分ほどありました。

妻は、子供に移るといけないとのことで、すぐ近くの実家に帰って行きました。

悲しから心細い日。

だけど、仕方ありません。

移ったら大変だもの。

休みが長くなると、会社に行きたくなくなる。

そう思い、兎に角、薬を飲んでよく眠ることにしました。


次の日、朝、目覚めてすぐに熱を計った。

熱はない。

寝転がっている状態では、頭も痛くないようだ。

これは、会社に行けるな。

いや、これで会社に行かないと、

もう、一生、会社に行きたくなくなる気がする。

今日は、行こう。起き上がると、頭がズキズキ痛い。

昨日の後頭部の痛みが、左横に移動してる。

時に右に移動もする。


何だこの移動する頭痛は?初めての感覚。やばいのか?

そう思ってるうちに今度は前頭部に頭痛が移動している。

もう1日休むかな?

しかし、このまま休むと会社に行きたくなくなる。熱はないから行こうと決め、会社への電車に乗る。

満員電車で妻に連絡する。

熱は下がったので、頭は痛いが、会社へ行く、と。

すると、しばらくして心配した妻から電話が掛かる。

電話に出れない。ラインが来た。

そんなに頭が痛いのはおかしい。

大きな医者で診てもらったら?

普段、そんなことを言わない妻の言葉が気になり、私は、駅で途中下車して、脳神経外科の病院を調べることにしました。


何やら自宅の隣駅に脳神経外科がある、とのこと。

隣駅に足を踏み入れます。

その前に、会社に電話しないといけません。

同僚に電話します。

電話繋がりました。

「すみません。また、今日も頭がズキズキ痛くて休みます。」

同僚の返事。

私の言葉を遮るように、

はい、わかりましたー。

たたみ込むように、

それで、あれってどうなってんの?

ねえ?

嫌な奴です。

具合が悪かろうが、その反応とは!

ぶち殺してやりたいと思いましたが、そこは低姿勢で、すいませーん。ほんとーに、すいませーん。

と言っときました。

(会社なんて、誰も助けてくれないですよ。だから、勇気を持って休みましょう。)

しばしの腹ごしらえをした後に、

脳神経外科に行きました。

少し待たされていると、心配した妻が後から医者に来ました。

私の番がやってきました。

妻も一緒に診察室に入ります。


熱が下がっているのに頭が痛いこと。

頭痛の位置が変わること。

今まで経験したことのないズキズキとした痛みがあること。

全て話しました。

するとお医者さんは、言います。

髄膜炎の可能性も否定できないから、先ずは、MRIを撮りましょう。


髄膜炎


そのフレーズを想定していなかったので、パニックです。

髄膜炎は、風邪を拗らせると菌が入り、重症化すると命を落とす場合もある。と、言います。


その髄膜炎の可能性も否定できないとは?もうパニックです。

すぐにMRIを撮るために、レントゲン室に入ります。頭にヘッドギアのようなものを被り、寝かされます。工事現場の音のような、鉄筋を叩くような音がヘッドギアから聞こえて来ます。

目を閉じていると、色んなことが思い起こされます。

髄膜炎で死んじゃうのか?俺?

まだ、小さな子供がいるのに。。

1歳5ヶ月の息子が、私に笑顔を振りまく姿や喜ぶ顔が瞼の裏に浮かんできたら、涙が溢れてきました。

俺は死んでしまうのか?

涙が止まりません。


10分ほどして、MRI検査は終わりました。

お医者さんに呼ばれます。

写真を見せられます。

写真を見る限りでは、特に問題はなさそうだが、髄液をとって検査してみないとわからない。

市の大きな病院の紹介状を書いてもらい、妻と急いでタクシーを飛ばして、髄液検査をすることになりました。


病院で紹介状を渡します。

妻と共に、すぐに担当医に通されます。

担当医は、30代前半くらいの若い医者です。

あまり威厳のなさそうな若手の医者は、MRIの結果を見ながら、この画像を見る限り、大丈夫かとは思いますが、見えてないところも出て来るかもしれませんからねー。

髄液検査しましょうねー。

腰に管を刺して、髄液を取りますよー。麻酔をするんで、痛みはないから大丈夫ですよー。

ただ、その麻酔の時に痛いかもしれないですけどねー。

と、柔らかい口調で私に髄液検査の説明をしてくれた。


説明の後、暇を置かずにすぐ、検査室に通された。

妻と別れる。

不安が募る。。。


看護師さんに言われる。

「はい、上半身、シャツ1枚だけになってもらえますか?シャツ1枚になったら、この台に横向けに寝てくださいねー。あっ、あと、今日研修医が見学しますが、気にしないでくださいねー」

言われることに、一々答えるしかない私は、台の上に乗り、未知なる髄液検査を受けるまで身体を硬くして待つことになる。

担当医が入って来る。

はい、これから髄液検査に入りますよー。腰とお尻の間に麻酔しますからねー。少し痛いかもしれませんが、痛かったら言ってくださいねー。


あいっ。

短く答えると、麻酔の注射針が私の腰あたりに刺される。

ちょっと痛い。


かなりガチガチに身体がこわばったのか、看護師さんが私に優しく語りかけてくれる。

「すぐ終わるからねー。リラックスしてねー」


麻酔の注射が3回ほど刺された。

はい、これから髄液を取りますよー。管を通すから少しドンって押される感じしますよー。

痛かったら言ってくださいねー。


もう、麻酔をかけているので、痛みはない。しかし、上半身はガチガチに固まっている。


はい、管、通りましたよー。

これからゆっくり髄液が落ちて来るので、時間かかりますけど、もう少し動かないでくださいねー。


と言われて更に上半身はガチガチになっていました。


はい。髄液取れましたよー。

綺麗な無色透明ですよー。

ドロドロしていないから大丈夫でしょう。


トータル20分くらいだったろうか?


髄液検査は終わり、別の部屋に手術台ごと運ばれる。

手術台で移動なんて、思い病気の患者みたいだ。


30分ほど安静にするように言われた。

昼も食べずに私に付き添ってくれている妻に昼ごはんを食べて来るように促し、私は、しばらく眠った。


目覚めると妻も戻ってきていて、担当医に呼ばれるのを、待った。


50分ほど待たされた後、担当医に呼ばれる。


緊張の瞬間だ。

髄液も透明だからということだったので、髄膜炎は大丈夫だとは思うが、正確に答えを聞くまでは、安心できない。髄液は綺麗とはいえ、何か見つかったかもしれぬ。、


診察室に呼ばれる。

妻と一緒に結果を聞く。

担当医が口を開く。


検査の結果ですが、髄液も綺麗で、異常もなかったので、髄膜炎ではないですよー。

よかったですねー。

単に風邪をこじらせて、副爆炎が重くなったために頭痛が酷くなってるのかもしれませんねー。


話を聞いて、ほっとした。

本当に、よかった。よかった。

と妻と喜んだ。


朝の9時から始まった診察は、意外な展開を経て、夕方4時になっていた。

私は、しばらくして、遅い昼ごはんを食べた。


ほんとーになんともなくてよかった。しかし。風邪は怖い、ちゃんと治さないと重症化するんだな。


家に戻り、幼い息子に再開した私は、息子を強く抱きしめた。


ちゃんと生きよう。


そう、決心した。



























新卒社員

私は四月に新卒社員が群れをなして歩く姿が嫌いだ。

あのフワフワした学生の延長のような、帰りは仲間とつるんで仲良くお友達感覚で飲みにいくような、遊び感覚のような、あの姿に酷い嫌悪感を覚えてしまう。

会社に雇われる事を深く考えずに、一生懸命就職活動をやってやっと入れたのだろうけれど。。


将来は、くたびれたサラリーマンやサラリーウーマンになってしまい、やさぐれてくんでしょ?

希望はやがてがんじがらめの現実に変わるんでしょ?

そんなに楽観して、ヘラヘラ過ごしちゃだめだよ。

と、俺はかつての新入社員の自分に語りかけるのだ。


そんな俺は、まだ、自分に合う仕事がわからずにフワフワとして、天職なんぞを探し続けている。


ゆっくりできるはずのゴールデンウィークにイライラして、明けの仕事の憂鬱に怯えて過ごすのだ。


桜坂

先日、朝から具合が悪く、頭がガンガンしてどうにもこうにもならない時がありました。

妻に早く医者に行った方がいいと促された私は、痛い頭に響かないようにそろりそろりと、隣町の医者に足を踏み入れました。

9時半から診療していると聞いていたので、それより15分くらい早く行ったのですが、既に待合室は、患者さんでいっぱいでした。

そのお医者さんの患者の年齢層はかなり高め、言ってしまえばおじいさんとおばあさんしかいない所です。

それは、全然いいんですが、

病院内に流れるBGMが古い気がします。

日本の歌謡曲だったり、外国のジャズだったり、シャンソンだったりと幅広く流れていますが、時代が、昭和初期。

青い山脈とか、カンカン娘とか、マレーネデートリッヒとか、、古いラインナップの音楽なので、正直自分には馴染みがない。

場が持たずに、持ってきた本でも読もうと思うんですが、そのBGMを声に出して歌うおばあさんの声が気になり、読書に集中できません。

1時間程待たされても中々自分の診察の順番が来ません。

読書には集中出来ないし、スマホでもいじることにしました。

スマホを触っていましたが、周りのお年寄りで、スマホをいじっている人がいない。

・・・段々気まずくなって来ました。ペースメーカーをしているご老人がいるかもしれない。

スマホをいじることを断念しました。

目を閉じて、BGMに耳を傾けます。

来生たかお井上陽水、微妙に私にもわかる曲が流れ始めます。


次に流れてきたのは、桜坂。

♪君よきっと幸せにー、風にそっとうたーうよー、ウーイエー、あいはーいまーも、あいのーままにー♪

福山だなー。福山雅治だなー。


中略


♪君だけーがー恋をーしていーたー憧れーをだきよせーてー、君はうたーうよー♪

♪君よきっとしあわせにー、風にそっとうたーうよー、ウーイエー♪


福山じゃないね。

福山じゃないね。

これ。

全く知らない人が、カバーをしている曲でした。


だれやねん!












ノー残業デー

15時頃、今日は、ノー残業デーです。残業をしないように、仕事を組み立てて下さい。

とのアナウンスがあった。


定時は17時。

17時になったら一斉に会社を出ると思いきや、誰もしばらく帰らない。

今日はノー残業デーと言っていたのではないのか?

日本人的だ。誰かが帰らないと、帰ろうとしない。

そんなこんなで、残っていたら、問い合わせの電話が掛かって来たものがいる。帰れない。


ノー残業デーは、相手に浸透していない。ノー残業デーだから、明日にして下さいとは言えない。


そもそも、夜勤待機している人間がいるじゃないか?えっ?どういうことだい?

良い企業の演出ですか? 

偉い者は帰り、下っ端は残らざるを得ない。

あーー、日本人の仕事環境は、そう簡単には変わらない。


働き方改革とは、泣けてくる。


私も15分程、残っちまいました。




育毛の日々 完結編

大学時代にオリブ油で育毛マッサージを繰り返した私。

しかし、薄い部分の毛は、鏡で見る限り、増えたとはいえませんでした。

もう、意識を変えます。

髪が抜けなければよい。現状維持だ!

大学を卒業し、フリーターになり、就職してからも育毛の日々は続きます。毎日、毎日、オリブ油を付けてマッサージ。

いつのまにかオリブ油は、市販の育毛剤に変わりましたが、マッサージは続けます。

20代後半、30代後半と年齢を経ますが、完全に禿げることはなく、現状維持を続けます。


今の嫁と付き合い始めた40代。私は、あることに気づかされます。

一人暮らしの嫁の家で頭を洗い、タオルで髪を拭いて、自然乾燥で寝ようとした所、「髪は、ドライヤーで乾かした方がいいよ。髪に良くないから」と言われました。

今まで、私は、ドライヤーの風が髪の毛に良くないと思い込んでいて、自然乾燥で済ましていました。

時には、髪の毛が生乾きなのに、そのまま寝ていたこともあります。

よく、禿げなかったなー。


また、髪の毛が薄い薄いと感じていたのは、高校生くらいの髪型を追い求めているからで、そのイメージのまま髪を増やそうと思っても、無理だとも気づかされました。

歳を取って、昔と変わらない髪型でいるのは、似合いません。

いつまでも早い球を投げられると、投球スタイルを変えないピッチャーとも変わりません。


嫁に勧められ、今まで、床屋で済ましていたカットも、美容院で切ってもらうことにしました。

すると、今の自分に合った短髪にしてくれて、薄い部分も目立たなくなりました。

短髪が伸びる時、髪が立ちあがる感じもあるので、二度髪型の変化を楽しめるようになりました。

意識改革です。

薄い部分を隠す為に髪の毛を伸ばすと、逆に薄毛が目立ち、薄い部分を隠すために短くすると薄毛が目立たない。

なぜ、このことに気づかなかったんょう?

いや、短くする勇気がなかったのです。

そして、今。

私の髪の毛は現状を維持しています。

大学時代にオリーブオイルを勧めてあげた、ぬまちゃんの髪の毛は、薄くなってしまい、坊主になってました。

ぬまちゃん、ごめん。

俺のオリブ油のせいか?


最後に私を気に入った髪型にしてくれるのは、ここ。私みたいなおじさんだけじゃなく、女性のお客様にも安心の技術です。

http://initium-hair.com/sp/top.html





女性専用車

朝、横浜からみなとみらい線保谷行きの電車に乗った。

電車は、横浜から始発なんじゃないかというくらい空いていて、座ることが出来た。

眠気が襲ってきたので、眠りにつくと、左隣に座る女の人が私を肘でしきりに付いてくる。感じの悪い女だ。

私の鞄が、女の身体に触れてイライラするらしい。

また、しばらくすると、菊名辺りから乗ってきた女子高生が、私の左隣に勢いよく座る。ノートを持ち出して、人の身体に触れるくらいの勢いで、何か書き出した。

やめてくれー。

今日は、両隣がよく動くので、熟睡出来ない日だ。

しばらくウトウトして自由が丘辺りで起きると、両隣の女も女子高生もいなくなり、また、別の女性が座る。しかし、何だか、今日は熟睡出来ない。

気づけば渋谷で乗り換える。

あー、熟睡出来なかった。

翌日、今日は、熟睡するぞと決心して、同じ車両に乗ろうと並んでいると、「すみません。すみません。」

女性駅員が私に話しかける。

なにか?

「ここは、女性専用車なんで、お乗りになれません。」

そうか、どうりで昨日。。。