今日の朝。
無機質なオフィス街に、いつものように通う俺。
信号は、青から赤に変わろうとしていた。ベビーカーを引いたおかぁさん、少し遅れて、赤ちゃんのおにぃさんであろう男の子が、歩いている。
点滅の瞬間におかぁさんが、早くして!と、男の子を急かす。
男の子は、走り抜けようとする。
その時、無機質な街の無機質な小太りのサラリーマンが、男の子と接触した。
バランスを崩して倒れこむ男の子。
靴は脱げている。
大声で泣く男の子。
サラリーマンは、謝りもせずに、逃げるように、自分のオフィスへと駆けて行く。
男の子の泣き声が響いていた。
ずーっと、ずーっと、響いていた!
心が痛くてしょうがない。
テメーは、心が痛いと思わねーのか?