バリ島の思い出 その2

 テンパサール空港に着いた。

入国審査のロビーへと向かうバスが真ん中の扉を大きく開けて、旅行者を待っていた。バスには、沢山の人達が乗り込んでいく。

私達新婚夫婦も、慌ててバスに乗り込み、揺られること5分。

入国審査のロビーへ到着した。

入国審査場。

審査を受ける人が列をなしている。

私達もその列に加わる。

受付のインドネシア人が厳しそうな目つきをしていて怖い。

私達夫婦の浮かれた気持ちも審査されるのではないのか?などど、妄想をたくましくしていると、自分たちの番が回って来た。

列に並んでいる間、妻もいるので、いい所を見せなければ男じゃない。

などど、昭和気質を発揮して意気込む私。

頭の中で、どんな英語を使おうか?シュミレーションまでしていたのに、

パスポートと入国審査券を見せるだけで、あっさりと審査は終了してしまった。

荷物検査も何も問題なく、通過し、預けていたトランクを受け取るだけ。

こちらも待たされる事なく受け取る事が出来た。

空港出口では、現地の旅行会社の人達が、それぞれの旅行会社のプレートを掲げて、旅行者を待っていていた。

私たち夫婦の申し込んだ旅行会社は、HIS。

その担当を探さなければならない。

その前に、当時、日本では、代々木公園で蚊を媒介にした、デング熱が話題になっていたが、インドネシアデング熱の発生率の高い地域。我々は、入念に蚊よけスプレーを全身に塗っていた。

 改めて、旅行会社を見つける私達。

HISの看板を見つけた。現地のホテル・リンバ・ジンバラン・バリの旅行担当のインドネシア人が近づいて来る。いかつい顔をしていて、ビビったが、日本語がペラペラで、陽気なインドネシア人だった。

私たちを含め、3組の日本人観光客が、ホテルへの車に乗せられ、揺られる事、30分。ホテル・リンバ・ジンバラン・バリに到着した。

チェックインの手続きやらなにやらをしていたら、時間はもう夜の20時。お腹も減ってくる時間だ。

夕食の時間。

初日のメインは、ホテル近くの海沿いのレストランで、夕日を見ながらシーフード料理を楽しむというプラン。

波の音を聞きながら食べる夕食は、雰囲気があったが、20時を回っていたので、周囲が暗すぎて、夕日が見えなかったことと、シーフード料理がよく見えないことが残念だったが、妻と二人だったので、そんなことも楽しむことが出来た。

海岸沿いにたくさんのやせ細った野良犬が歩いていた。野良犬を見るのも久しぶりで、そんな事でも盛り上がった。

お酒を飲んで、2人でのんびりしていると、突然、現地の8人組の流しがやって来て、「ゴケッコンオメデトウゴザイマース!」と歌を披露してくれた。

世界に一つだけの花

歌が進むにつれ、所々、歌詞がうろ覚えで、適当な所があって、笑ってしまった。他に♪昴♪やら何曲かを強引に聞かされ、聞き終わった後で、チップを要求された。

少し、唖然としたが、新婚旅行で気分も良いので、チップを渡すことにした。

それに、今回の新婚旅行で、妻のお父様が、我々の為に、インドネシアに単身赴任をしていた時に余った10万円あまりのインドネシアの紙幣を持たせてくれていたので、気にならない。気にならない。

彼等に数千円の紙幣をチップとして渡す。

すると、8人の流したちは、怪訝そうな顔をして、その場を立ち去ってしまった。

 

つづく

 

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